開拓住民の生活を支えた三大植物とは!

 皆さんお元気ですか。今日は以前お話したサトウキビ開拓で生活して来た南大東島の人々の生活を支えた植物のお話です。
 以前にも書きましたが、南大東島(みなみだいとうじま)は、4700万年前パプアニューギニアの沖合で誕生し、年に7cmほど北に移動をして沖縄本島の約400km東方にまでやって来た周囲約30kmの島で、2000mの海底からそびえ立ち、海上に30mだけが突き出た島です。中央が窪み、海岸付近の周囲は歯茎の「はぐ」と呼ばれる小さな丘状になっていて、内陸に進むほど低くなる皿状の形態となって、ほぼ中央には淡水の池がいくつかあります。これは「典型的な隆起環礁の島として世界のモデル」にもなっているそうです。
 今から約117年前の1900年(明治33)、玉置半右衛門と言う人が開拓に乗り出し、明治33年1月23日八丈島で開拓者を募り、「回洋丸」に乗った23人の移住者が上陸を果たし開墾が始まりました。
上陸を果たした島の内陸部は、ダイトウビロウの木々が一面を埋め尽くす林だったそうです。真ん中が窪んでいるせいで水がたまりやすくなっていて、湿地が多く、雨が降ると土がべとべとになり泥濘ってしまいサトウキビ畑の開墾は難を極めたそうです。
そんな環境の中で開拓住民の生活を支えた三大植物がありました。紹介したいと思います。

mokumaou.pngモクマオウ
上陸してからしばらくして沖縄本島から持ち込まれたらしいのです。泥濘る場所は道が作りにくく、作ってもその上を馬車や人が通るとすぐに沈んでしまいます。そこで道の両脇に湿地を好むこの木を植え湿地の上をこのモクマオウの根で上を覆い尽くさせ、その根が張った上から道を固めて作っていったそうです。いまでも開拓の時に上陸したと場所言われ「開拓ロード」と呼ばれている道の両側には、大きくなったモクマオウが並んで生えています。また根にはフランキア属の放線菌が共生し窒素固定していて土壌を肥やすことにも一役買っています。







getto.pngゲットウ
これは以前紹介したショウガ科の植物ですが、この島の種類は沖縄本島の物と違って種がならないそうです。刈り取ったサトウキビを束ねるのに、この植物の丈夫な茎を切って縄の代わりに用いていたそうで、生活を支える貴重な物だったそうです。健康維持の漢方として、お風呂に乾燥した茎や葉を切っていれたり、いまでもお料理を盛るお皿の代わりや、お祝いのお餅を包むときにこの植物を用いています。今年はゲットウの花が島中満開でとても奇麗でしたよ。








ダイトウビロウの木
この島に生えているダイトウビロウはヤシ科ビロウ属の仲間で、高さは10~15mのビロウの変種で大東島の固有種です。入植当時は、一面島中を覆っていました。今ではそのほとんどがサトウキビ畑になっていて「ハグ」の林の中でしか当時の名残を見ることはできなくなっています。この木は堅く釘が立たないほど丈夫だそうで、開拓の初期のころには建築材料として重宝され南大東島の産物として沖縄本島に移出されていたそうです。島の中では、葉はシュロ葺きと言われて屋根の材料に使われました。今ではほとんど見られないですね。入植当時、開拓の対象だったダイトウビロウの大木の森が、島の人々の生活を支えていたのです。島ではこのダイトウビロウを「防風林としていろんなところに再度植えていこう!」と活動を開始しているそうです。

daitoubirou.png

◎追加です。
 この島の微妙なお話をしておきたいと思います。この島は海底から珊瑚礁で全部できていますから、島はいわばスポンジ状のスカスカの珊瑚礁の状態が海底から上まで出来上がっています。このため、海水は毛管現象の様に海底からじわじわとしみ上がって地上まで到達していきます。これだけだと島は海水だらけとなり当然作物はできないし、人々は生活もできません。 でも奇跡が起っているのです。じつは、この下から揚がって来た海水は、天から降って来た雨が降ったとき、真ん中の中央窪地に向かって雨水が集まり、海水の上に覆い被さり地上に厚い淡水の層を作っているんだそうです。ちょうどアイスコーヒーにミルクをそっと流して二層になっているような状態ですね。開拓民はこの海水の上にたまった雨水の層を利用してサトウキビを栽培するなど、生活することが可能となっているのだそうです。この現象を「淡水レンズ」と呼んでいるそうです。

 ですから雨が降ると畑が泥濘(ぬが)ってしまい、水路を造って水を抜く作業をしすぎると、淡水の層が薄くなり海水が揚がって作物が出来なくなってしまうそうです。この調整が生死を左右するのだそうです。この島は、自然が4700万年かけて創られた奇跡の島なんですね。ぜひ皆さんも一度この奇跡を体験しに、開拓の歴史物語を追体験しにお出かけください。

2016年5月11日 10:44 | | コメントを読む (0) | コメントを書く