食文化を支えた巨大海草「コンブ」の産地!

 皆さん、北海道でも毎日28度から30度を超えるような日々が続き暑くて大変ですが、いかがお過ごしですか。今日はこの時期の暑さを利用して作る食べ物のお話です。
 先日、北海道の北端に位置する利尻島に行ってきました。札幌丘珠空港から50人乗りの飛行機で約1時間。利尻空港に到着しました。タラップをおりるとその背後には日本でも富士山に次いで美しいのではといわれるあの有名な利尻富士がそびえ立っています。その雄大な姿には感激です。現地のある人が「あの姿は、源頼朝が杓子を持って鎮座し、こちらを見つめている姿に思え、いつも眺めるたびに心がキリッとする。」と語っておられました。

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 この利尻富士の中腹までは森林帯になっていて豊かな森がその周囲を取り巻いています。今日はこの山から流れ出る栄養をうけて育っている海の宝物「コンブ」のお話です。

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 日本近海には10余種のコンブが繁殖していますが、料理に重宝される利尻島周辺に生息する利尻コンブは、真昆布や羅臼昆布に次ぐ高級品特として有名です。京都のお料理屋さんで湯豆腐に、懐石料理に、あの千枚漬けに用いられている利尻コンブ。以前から一度はその現地を見たいと思っていました。今回いい機会を得て利尻島の郷土史研究家の西谷先生に案内していただき、コンブ漁師さんにお話しを聞いてきました。
 びっくりしたのですが、海岸からすぐ見える位置にコンブがびっしりと生えていたんです。柔らかな波のうねりに会わせながら、コンブの先が海面に姿を出たり沈んだりしている様子が見えるほどです。




 利尻では7月下旬から8月上旬頃までに小型の船を出し、7m、8m以上はあると思われる長い棒の先に先が二股に分かれた金具をつけた道具でコンブをひっかけて採っているようでした。採ったコンブは砂利を敷き詰めた広い場所にきれいに並べてこの強烈な日差しの下で天日干し、一本一本丁寧に仕上げていきます。利尻コンブは150g1200円くらいで売られていますから、かなりの高級品ですね。この何メートルにもなるコンブの美味しさは、利尻富士から送られてくる有機物という栄養が育んでいます。まさに山の恵みを海が受け止めてコンブという巨大な海草の海中林を作り、その海草に守られて中で魚の稚魚が育ち、これまた一級品の利尻アワビや利尻ウニがコンブを食べて大きく育ち、豊かな私たちの食文化を支えていてくれているのです。ある東北の漁師さんが「海は山の恋人」と語っておられましたが本当ですね。

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 コンブは本来寒海性の海草ですので日射が強くなり、水温が20℃以上になると、葉片の上方から溶けて枯れていきます。でも北海道沿岸では水温が比較的低いため、2年目の葉も生きている間に、新しい葉を出して成長させて、多年生の生態を持った海草となって、いつも海を豊かにしてくれています。







 ところでいつ頃からコンブを食べる習慣があったのかをちょっと調べてみたら、「縄文時代の遺跡からは、ワカメなどの海藻の植物遺存体が見つかっており、コンブもまた、この時代から食されていたかもしれない。」とか「アイヌの人々にとっても、大切な食料として食べられていたほか、虫歯が痛むとき昆布をかじると治るとか、難産のとき昆布で腹をさするとよいなどの俗信があった」と記されていました。昔から私たちの食生活を支え、日本の食文化のもととなってきていたのですね。
 皆さんも一度この利尻島を訪ねて見てください。雄大な利尻富士が皆さんを御迎えしますよ。そしてこの山の元で育った海の恵みを食してみてください。きっと利尻島の虜になることと思います。

2016年8月17日 08:00 | | コメントを読む (1) | コメントを書く