一本の親杉がつくる大きな杉ファミリー

皆さんお元気ですか。
暖かくなったり寒くなったりと変な天気ですね。
京都では12月に入ってやっと紅葉がきれいになっています。
京都のもみじで有名な北嵯峨の常寂光寺に行ってまいりましたが、
京都で一番と言われるだけあって、緑色から黄色、紅色から紫がかった濃い赤色へと
もみじの葉がおりなす色のグラデュエーションは美しいものでした。

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先週ですが、山の紅葉はどんなものかと、エコツアーガイドの伊藤五美さんにお願いして京都市と美山町と滋賀県の境に位置する片波川(かたなみがわ)源流域に行ってきました。
この地域は京都を流れる保津川(ほづがわ)の最上流に位置します。
片波川源流域は、古くから天皇家によって守られてきた府内でも数少ない地域です。
全区域106.63ヘクタールの3分の1にあたる約35.60ヘクタールが特別地区・野生動植物保護地区(立入禁止)で特異な形態をしている「アシウスギ」と呼ばれる巨木が多く生えている地域があります。

今回で私は2度目ですが、いつ行ってもその大きさと
「これが杉の木?」とおもう形の特異さに圧倒されます。

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実はここで見られる杉の森は、1本の根株から複数の幹が立ち上がって親の杉の周りに同じ遺伝子を持った子杉を育てているのです。
親杉周りの杉は今でいうところの、すべて一本の杉から出来上がったクローンの木々なのです。
日本海側の気候の特徴である多雪の影響で、大量に積もった雪に圧された杉の枝等が地面に押さえつけられ、その地面に接した枝から根が出て、やがて親木のとなりで成長して何百年か後に巨木になっていくのです。


このようなことが繰り返されて一本の木からやがて大きな杉の森へとなっていくのです。
こういった特性を伏条更新(枝が地面に接地して発根して樹木となる更新のこと)
と呼んでいます。
すごいですね。
「アシウスギ」と呼ばれている巨木が多く生えている地域の巨木の杉が、
もしかしたら一本の杉からできてきた森かもしれないなんて。

日本海側の多雪地域では、雪の重さを利用して体の一部を地面に押し付けて
子孫を増やすという伏条更新によって生きている植物がほかにも結構いるのですよ。

数年前ですが、日本一のブナが発見された秋田県和賀山塊(わかさんかい)の
標高千メートル位のところに樹高が2m位のアスナロヒバの森があります。
このアスナロヒバを見た時もびっくりしました。
一本のアスナロヒバから伸びている数本の枝の一部が
どれも地面に着いていて根を出しています。
本当に一本から次から次へとつながっていて
森が出来上がっていることがよく分かりました。 

私の生まれた新潟県の山には雪解けの頃に
赤い花を咲かせるユキツバキという植物があります。
ユキツバキは積雪の重さに耐えて生きるために、樹高を低くし、
幹や枝をしなりやすく柔軟にして折れにくくし、
側枝から根を出して仲間の繁殖を行っています。
調べましたらこのほかにもこの伏条更新という戦略で
仲間づくりをしてがんばっている植物として
ヒメモチ、ハイイヌガヤ、エゾユズリハ、ヒメアオキ等があげられます。
「ヒメ」や「ハイ」は枝がしなやかな性質を持っているとか、
地面を枝がはう特色を表しています。
皆さん!日本海側の山に行ったら探してみてくださいね。
きっと一本からできた森を見たら感激しますよ。  

2011年12月 7日 10:09 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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