落ち葉がつくる動物達のレストラン

皆さん、大寒波襲来でとても寒い日が続いていますが、いかがお過ごしですか。
ドングリのなるクヌギやコナラの雑木林では落ち葉がいっぱい積もっています。
雪が降る少し前のことでしたが、家の周りに、
龍が空を泳いで蛇行した様な細長い穴がいっぱいありました。
これはモグラの堀った巣穴ですね。
そういえば漢字でモグラはこの穴の形から「土龍」と漢字で書くんでしたね。
今日は雑木林で繰り広げられる落ち葉のレストランのお話です。

ひと昔前までは、私たちは暖をとるのにこのクヌギの木の炭を使っていました。
初冬に山に入ってクヌギの木を切り、炭を焼いていたのです。
桧原村でも今でも山に入ると炭焼き釜の跡が幾つか残っています。
余談ですが、クヌギと言う木は地域によって「苦抜」と書きます。
人々の生活を助ける大切なものであり、また多くの山の生き物達を
助けるものとなっていることからこの漢字が当てられたそうです。
四国地方にはこの木に感謝と祈りを込めて「苦抜ぎ達磨(くぬぎだるま)」
という郷土玩具があり家々に飾られているそうです。

ドングリのなる木は炭になるだけではありません。
ドングリは、でんぷん質の塊りですから、リスやネズミ、タヌキ、クマ、さらにはカケスといった鳥獣等の越冬用の大切な食物となります。
でもあまりにも美味しすぎて全部食べられてしまうと子孫が残せなくなるので、ドングリに渋味をいっぱい付けて、みんな食べられてしまわないようになっているんです。
結構ドングリのなる木も努力しています。

さらにリス君やネズミ君は冬に備えて、地面に穴を掘って埋め込んだりします。
ネズミ君は多いときには一晩で10m間隔くらいに2,000個も埋めた観察例があるそうです。
でもすべて覚えている訳ではなく、春になると、忘れた場所に埋められた実は発芽して成長していくんです。
そしてまた新しいドングリの森ができていきます。まるでリス君はドングリとタッグを組んで森づくりをしているようです。

ドングリのなる木の役割はこれだけではありません。
秋になって地面に落ちた大量の枯れ葉はミミズ君にとって、
雑木林レストランの最高のメニューです。
ではミミズ君がどれくらい地中に棲んでいるかというと、これまた凄いんです。
イギリスの研究者の報告を元に計算すると、1ヘクタール当り約240万匹もいて、
一ヶ月に2億6千4百万枚もの落ち葉を食べながら2,600トンの土を耕し、
肥料の元になる糞を1,000トンも作っているそうです。
ミミズ君達の活躍が農地を肥沃にしているんですね。
お百姓さんは山からこの落ち葉を採ってきては畑に鋤(すき)込み、
ミミズ君達に食べてもらっては肥料にかえてもらい、
その肥料で野菜を作り、私たちの命が救われていたんですね。

では落ち葉で増えた240万匹のミミズ君達はその後どうなっていくのでしょうか。
実はこのミミズ君を頼りにしている動物がいるんです。
その名を「モグラ」と言います。
モグラ君は食いしん坊です。
食事にありつけないとすぐに空腹で死んでしまうため、
自分で掘った地下のトンネルの中を歩き回っては、
ポトッ!ポトッ!と穴に落ちてくるミミズ君を探しては食べ、疲れたら眠り、
また起きてはミミズ君探し、最後に壊れたトンネルの補修作業!
という生活を繰り返しているんだそうです。
モグラ君が一日に食べるミミズ君の量は平均20匹位だそうで、
ミミズ捕りの穴は一日で50m以上も掘るそうです。
なんとあの穴は、巣であるのと同時にミミズ狩猟用の罠でもあったんですね。
モグラ君が生きられるのも、クヌギやコナラに代表される
雑木林からの大量の落ち葉があればこそ。本当に感謝ですね。

またまた余談ですが、この穴は畑に棲むネズミ君が野菜を
かじったりする時の通路にも利用されてしまうため、
モグラ君が「野菜を食べる悪い子!」と誤解されている節がありますが、
そんなことは決してありません。
モグラ君の名誉のためにお知らせしておきますね。

いま、しんしんと雪が深く積もる山や畑では
いろんな生き物達が動物レストランで食事の真っ最中です。
地上でリス君は、自分が埋めたドングリを探しまわって
「カリカリカリ」と器用にほおばっています。
ミミズ君はやや深めの土の中で落ち葉をおいしそうに細かく砕いて飲み込み、
ゆったりした食生活をおくっています。
冬眠することのないモグラ君は、丸まる太ったミミズ君を
スパゲティをすするように召し上がっています。

皆さんも、雪の積もった土をどけて、地面に耳を当ててみてください。
枯れ葉の下からおいしい食事をしている
ミミズ君やモグラ君の声が聞こえるかもしれませんよ。

2012年2月29日 10:10 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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