島人を救う「聖なる紫の花」とは?

皆さん、春真っ盛りです。
初夏を思わせるような気配さえもあります。
先日ですが京都嵯峨野にあります嵯峨天皇陵に学生と登ってきましたが、
新緑で彩られ山が膨らんで見えるほどでした。
天皇陵の頂上を目指して登りはじめて20分くらいでしょうか。
以前皆さんにご紹介しましたモチツツジの薄ピンクの花が今年も見事に咲いていました。
今頃の3月~5月はいろんな種類のツツジが次々と咲き誇っていく季節なんですよ。
今日は亜熱帯地域西表島などで幻の花とも言われているツツジのお話です。

以前のことですが、西表島の人が一年を通じて
自然とどのように関わっているのかを調査し、
その結果を「フェノロジー・カレンダー」で表現する
という調査に通っていたことがあります。
ちょっと説明しますと「フェノロジー・カレンダー」とは
別名「季節暦」とも呼んでいます。
1年間の時間の経過にしたがって、地域の気候や潮汐(ちょうせき)、
また動植物などの生態の様子、地域の信仰やお祭り行事、そして大切なのは、
その移り変わりに応じて推移する農業や漁業をはじめとする
生産活動の推移などをカレンダーとして表わしたものを言います。

その調査をしていた3月頃、西表島の農学者で民俗学者でもある石垣金星(いしがき きんせい)さんが面白いことを教えてくださいました。
「真板さん、島人はどうやって田植えの時期を決めていたかわかりますか」と聞かれました。
カレンダーや温度計のないその昔、生活する上で一番大切なのは田植えを開始する時期の決定だったのです。
ご存知のように亜熱帯地域の西表島の植物は年中常緑のため四季の区別が本州のようにあまり明確ではありません。

不思議そうな顔をしていましたら、金星さんが「答えは山にありますよ!」と
西表島で一番大きい川である浦内(うらうち)川の山沿いに案内してくださいました。

浦内川沿いにその答えを見ることが出来ました。
それはツツジの仲間で幻の花と言われる「セイシカ」と呼ばれる植物の花でした。
淡いピンク色の花が咲いていました。

金星さんは、この花を指差しながら
「この花が咲き始めたら西表島では田植えを始めるんですよ。神様からのお知らせを伝えてくれるセイシカという花なんですね」と教えてくださいました。
漢字では「聖紫花(聖なる紫の花)」と書くそうで、神秘的な漢字が当てられています。

島人は田植えの時期を決める為に特別な花を決めておいて、その花が咲く時、「田植えの時期が来た!」と悟っていたのです。
ですからこの植物は島人にとっては生きる上でとても大切な神聖な植物だったんですね。

セイシカは台湾、中国南部にも分布しているそうですし、西表島の人々の祖先は遠い昔、
南方からやってきたと言われていますから、南方での様々な試行錯誤から生また知恵が、
西表島に引き継がれてきたのかも知れませんね。
まさに、自然との関わりから生きる為に引き継がれて来た、島人の「生きる知恵」です。
このことを最初に発見した人は凄いと思いませんか。

2012年5月 9日 09:32 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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