柿の木は、じつは隠れた優れもの

皆さんお元気ですか。
先日、下呂市の調査に呼ばれて行って参りました。
ちょうどその日は初雪が降り「今までで一番寒い日だ」と言われました。

私が泊まった上呂地区の「赤かぶ」という30年以上も続いている宿で、今年一番の干し柿をいただきました。
独特の深い甘みがあり、何とも言いようのない美味しさでした。
この地域は、干し柿の品種「富士柿づくりの里」で有名だそうで、お正月に家族そろって干し柿を食べるのだそうです。
この地域には言い伝えがあり、

○お父さんが食べた時、干し柿の種が多いときは「実入り多い」
○お年寄りが食べた時、種が多いと「長生きする」
○子どもが食べて種が多い時は、お年玉の中身が多い
と占うのだそうです。
写真の吊るし柿の様子は、近くのお寺の風景があまりに奇麗なので、
お願いして撮影させていただいたものです。

今日はこの秋の味覚の代表「柿」のお話しです。
日本には、柿は渋柿甘柿あわせて約1,000種以上もあると言われています。
元々は干し柿の材料となる渋柿だけだったのですが、渋柿の突然変異で甘柿が誕生したようで、1,214年に現在の神奈川県のお寺で偶然発見されたものが日本初の甘柿とされています。
今では日本特産の品種になっています。
言って見れば甘柿は、日本で生み出された世界を代表する果物ということになります。

柿の日本での栽培の歴史をみると『延喜式(えんぎしき)』(927)という書物に、干し柿があったと記載されています。
また12世紀の鎌倉時代には明確に甘柿が栽培されていたという記録が残っています。
結構、柿との付き合いは古いんですね。

ところで、柿の実や木は多様な用途がありますがご存知でしたか。
今年の春のことです。
京都で100年続いたおまんじゅう屋さんから
「お店を閉じるので、欲しいものをあげるからとりにきませんか」
という連絡をいただきました。
早速友達と見に行きましたら、その中に面白いものがありました。
それは京都嵯峨野の観光名所である渡月橋(とげつきょう)での
鵜飼いの様子が描かれている7柄(へい)そろった団扇でした。
半透明で薄いプラスティックのようでした。
不思議な団扇だったのですが、後日それが何かわかったのです。

「真板先生、懐かしいものを持っていますね。これは扇風機のない時代、この団扇を水につけて扇ぐと、しぶきが飛んで涼しかったんですよ」
と地元の方が教えてくださいました。
この団扇を水につけた時、よれよれにならないように紙に柿の実からとった渋が塗ってあって、耐水性を持たせているのだそうです。
うちの学生に聞きましたら、和紙のアート作品を作る時、防水剤として柿渋は今でも使われているとのことでした。

もう一つは、何年か前のことですが、ある古いお屋敷のお食事にご招待された時のことです。


離れに至る壁が、渋い黒褐色の色の壁板で飾られていました。
本当に素敵です。
何かと不思議に思いお聞きしましたら「黒柿(クロガキ)です」
と教えてくださいました。

黒柿とは資料によりますと
『柿(カキ)の木で、
板目の模様が稀に濃淡のある黒の縞模様ができる場合があり、
 これを黒柿(クロガキ)とよんで昔から珍重されており、

 木目は綿密で主に高級和家具や茶器・建築装飾材の材料として使用される』
とありました。
結構「柿」と一口で気楽に言ってますが、
日本の建築文化にも貢献している優れものなんです。

このような用途のほかにも、いろいろあります。
昔から「柿が赤くなれば医者が青くなる」と言われています。
皆さんご存知のビタミンCが豊富な「柿の葉茶」や「下痢止め、便秘の解消といった
整腸作用、血止め、しもやけ、やけど、解熱や風邪の薬」などに
葉や実が用いられていたようです。
また柿の実から作った柿酢は、「カリウムの含有量が豊富なため、
免疫調査で血圧の低下の効果がある」とも言われています。
私たちの身近にある、日本人にとって親しみのある「柿」って
隠れた力を持っているんですね!
今年の秋は美味しい柿をいっぱい食べて、
冬に向けての健康作りをしてみてはいかがでしょうか。

2012年11月 7日 12:38 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

いつもすばらしくて、感謝・感激・感動です。
お花・植物が大好きで、共生して生き抜く定年過ぎたオジ様ですけど、眞板先生の生徒か弟子になりたいです。
無知より知識、知識より知恵、知恵より生命力、命が大切ですね。
かのアインシュタインは想像力は知識より大切だ、と。
命続く限り執筆お願いします。
合掌

Posted by: toshimi sugano | 2012年11月12日 04:47


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