生き物と飲み物の深い関係

皆さん、京都は本当に暑い日が続いています。雨がほしいですね。
植物の葉はしな垂れてぐったりしていて元気がありません。
今日は「え! うそ。やだー」というようなこの暑さも吹き飛ぶ、
生き物と飲み物のちょっと変わったお話をしたいと思います。

桧原村に一番近いJR武蔵五日市駅から家に向かって車を走らせて数分行ったところに、
私の行きつけのコーヒー屋さん「おとのコーヒー」があります。
久しぶりにお店に入ると、妙なメニューが目に入ってきました。
「一杯2,500円、予約必要」って書いてあるのです。
いくらなんでも一杯2,500円は高いのでは?と思い、マスターに
「これ何のコーヒー?」とたずねましたら
「世界でも超珍しいコーヒーですよ。だまされたと思って飲んでみて」
とお勧めされました。

恐る恐る飲んでみると、全体的に薄い味なのですが、飲んだ後、
口の中がずーっとまったりしていて独特の味わい感なのです。
癖になる不思議な味です。
「これってなんと言うの?」と聞きしましたら、
このコーヒー豆はマレーシア産のものでコピルアクと呼んでいるそうで、
ほかにもパナマ産のパナマエスメラルダと呼ばれる同じものがあるらしいです。

「じつはこのまったりさは、動物によって発酵されたことからできているんですよ。ジャコウネコというのですが、その動物に摘んだばかりの果肉の付いた豆を餌代わりに食べさせて、うんちから消化されないで出てきた豆を集めて乾燥し、焙煎して作ったものなんです。できる数量が少なくすごく高価なんです」と教えてくれました。
なんでもつい先日、この豆を作っているマレーシアの関係者の人が偶然このお店に立ち寄ったとかで、間違いない豆であることを保証する保証書が壁に貼られ、そのわきにマスターと一緒の写真が飾られていました。
偶然とはいえ、すごいですね。
調べましたら、世界にはゾウに食べさせてそのうんちから採った
貴重なコーヒー豆もあるそうです。
皆さんも一度は飲んでみませんか。決して臭くはありませんよ。
まったりとした味と香りでほんのりします。

同じようなものはほかにもあるようで、台湾の高地で栽培されるコーヒーの豆を
野生のタイワンザルが食べ、種子のみを吐き出したものを集めて
コーヒーとしたものもあるそうです。
またタイでは、ゾウにコーヒー豆を食べさせ、糞より集めたコーヒー豆で作る
ブラック・アイボリー(黒い象牙)というものがあり、
かなり高価で世界で一番高価なコーヒーと噂されています。

動物といえば、私たちは意外と知らないところでお世話になっていて、知ってビックリ!なんてことがまだあります。
先週の日曜日に行きつけの「町屋バー」に友人と行きましたところ、マスターが注文もしないのにカンパリソーダとテキーラのカクテル「マルガリータ」を作ってくれたのですが、妙にニコニコしています。
「先生、今日はお酒を飲みながら虫を食べてください」というのです。
ご存知のようにカンパリは真っ赤な色が特色です。
テキーラはグラスの周りに塩をつけて少し舐めながら飲む大人のお酒です。
「この真っ赤な色は何で色づけしていると思います?」と聞かれたのですが、
私は何か植物性の実から着色しているものだとばかり思っていました。
ところがです。勘違いもはなはだしかったのです。
「これは、あのカイガラムシの仲間であるエンジムシ(コチニール)という
昆虫の雌を乾燥させ、温水や熱水などで色素を抽出したもので作っているんですよ」
と教えてくれたのです。
ショック! あの気持ちの悪いカイガラムシ。
絶対に安全だそうですが、ちょっと引いてしまいました。
確かにカイガラムシはつぶすと真っ赤な液を出したような気がします。気持ち悪い!

まだまだ驚きは続きます。
「では先生、この塩を舐めてみてください」
言われるがままにテキーラベースのカクテル「マルガリータ」を少し飲みながら、
小さな缶に入ったさらさらした少量の塩を舐めてみましたが、
結構甘くてさっぱりしていて最近はやりの岩塩とは全く違う味です。
また海水から採った天然塩の様なニガリの癖もありません。

「これってテキーラにぴったりの塩ですね。何の塩なんですか?」とお聞きしましたら「これは、マルゲリータ・ソルトです。テキーラの原料であるアロエに近い植物リュウゼツランの葉っぱに、グサノ・デ・マゲイという昆虫がよくつくのだそうですが、その時この昆虫がおしっこをするそうで、そのおしっこが蒸発すると葉っぱの上に塩の粉がついて、それを集めたものだそうです」
「え! 虫のおしっこが乾燥した後の塩?」
これまたショックでしたが今度は塩ですので少し安心です。結構いけます。
でもこの虫は毛虫の仲間らしく、さなぎになったときは、
から揚げにしてカクテルのおつまみに食べるそうです。
でも現地の女性からは「死んでも見たくない!」と嫌われているようです。

皆さんもコーヒーを飲むときがありましたら、このことを思い出して
ゆっくりと味わってみてください(笑)。
今までと少し変わった味がするかもしれませんよ。

2006年、このテキーラの原料を栽培するメキシコのリュウゼツランの畑と
お酒工場の景観は「テキーラの産業施設群とリュウゼツランの景観」
として世界遺産になったそうです。

2013年6月19日 09:06 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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