暑い夏を「象鼻杯」で吹き飛ばそう!

いよいよ真夏に突入です。
例年のごとく京都は強烈な暑さですが、みなさんはお元気ですか。

今日は京都の夏を飾る花「蓮」にちなんだ行事のお話です。
京都嵯峨野にある大覚寺大沢池では、蘇った赤い蓮3,000本が咲き乱れ、皆さんのお越しをお待ちしています。
この蓮は、花びらの先端がほのかに赤く染まった感じの蓮で「爪紅色」(つばめにいろ)と言われる古典的な蓮の一種です。
大覚寺では「名古根(なこそ)」の蓮と命名して楽しんでいます。

楽しみと言えば、この蓮の花が一番数多く美しく咲く時期に、
特別な行事が今年も行われます。
その名を「観蓮節(かんれんせつ)」と呼んでいます。

蓮は、古来より葉の形が胎児と胎盤、葉脈は血管に似ているとされ、
長寿や誕生、生命の象徴とされてきました。
後に平安時代の後期からは
「仏教の浄化思想と合わさって、蓮の葉の上でクルッと丸まり水滴が汚されない。
 水にも泥にも汚されない。欲望にも世界にも汚されない。汚れのない美の象徴」
とされ、その姿は釈尊の姿に似ていると例えられるようになったのだそうです。

平安時代、日本固有の文化を開花させたとされる嵯峨天皇が、
空海の進言により中国の「洞庭湖(どうていこ)」を模して作庭したとされる
大覚寺大沢池では、2007年から毎年7月下旬に、
この蓮を讃える「観蓮節」の行事を復活させています。
そしてその行事の目玉が、「蓮の香り観賞」と蓮の葉を用いた
「象鼻杯(ぞうびはい)」の体験なのです。
この「観蓮節」についてちょっと説明します。

中国の唐の時代には盛夏の6月24日(旧暦ですので、今で言えば7月中下旬頃でしょうか)を蓮の日として、親しい友人を招いて蓮を観賞し、小川の淵に座って歌を詠む「曲水(きょくすい)の宴」や、夏の暑さを吹き飛ばそう!と蓮の葉の上にお酒をついで、そのお酒を象の鼻に見立てた茎から吸い取って飲み干す「碧筩杯(へきとうはい)の宴」(象鼻杯)をする「観蓮節」の行事が行われていたそうです。


縄文時代の蓮を発見して発芽させた大賀博士によれば、
大沢池のモデルになった琵琶湖の7倍の大きさがある中国の洞庭湖附近でも当然、
この行事が貴族の遊びとして行われていたようだと語っています。

時は移って、唐の都を模す事を文化の象徴とする奈良時代末期には、
「観蓮節」は宮中の行事として定着し、
日本では7月24日を「観蓮節」の日として定めて盛んに行っていたようです。

奈良時代後期の書物である『類聚国史(るいじゅうこくし)』に、
延暦12年(793年)「蓮葉(れんよう)の宴」を行い
蓮の葉をもてあそび楽しんだと記録されていますから、
宮中の暑い夏を楽しむ大切な行事だったのですね。

もともと嵯峨天皇の離宮であった大覚寺では、
今年も7月27日の朝9時30分から12時まで、大沢池の蓮の香りを嗅ぎ、
その後、象の鼻に見立てた茎からお酒を飲む
「象鼻杯」を楽しむ観蓮節を行います。ぜひおいで下さい。
暑い夏を吹き飛ばす事ができるかもしれませんよ。
しばし宮中の遊びに時を忘れていただければ幸いです。

2013年7月 3日 08:53 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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