マムシのお母さん、がんばって!

みなさん急に寒くなりましたね。
噂ですが、今年は綺麗な紅葉が期待できそうだとのことです。

先日ですが久しぶりに檜原村のフジの森に行ってきました。
観察路の周辺には船の形をした赤い花のツリフネソウがいっぱい咲いていました。
また、通称ひっつきむしとも呼ばれているイノコズチもいっぱい繁茂していて、ズボンにイヤっていうほど種がくっついてしまい、取り除くのに苦労しました。

今日は、寒くなってきた中で、秋のわずかな木漏れ日を求めてひなたぼっこをしていた動物のお話です。

「真板先生、ここ、ここに寝ていたんです」
とフジの森の事務局次長の小沢君と佐藤観察指導員が興奮気味に話します。
なんでも、先日の暖かなお昼頃、草刈りをして積んでおいたすぐ脇の平らな石の上に、長さ1.5m位で胴回りが4cmから5cmはあるかと思われる巨大な蛇がゆったりと休んでいたというのです。

その蛇の正体は「ニホンマムシ」でした。
マムシは普通、夜行性で夜に餌を求めて動き回ります。
でもちょっと大きさからいっても、ひなたぼっこを昼にしているなど、私の知っているマムシの習性とはかなり違っていて信じられない話でした。

「この写真を見てよ、ほらマムシでしょう。この銭型の斑紋は間違いなくマムシだよ」と携帯で撮った写真を見せられました。そこに写っていたのは、本当に間違いなく巨大なマムシ。
でも夜行性のマムシが何で?と不思議でたまりません。
マムシの大好物はネズミです。聞いたところでは最近めっきりネズミが減ったようだと言ってましたので、間違いなく夜はネズミをこの付近で食べているようです。

ところで最近、檜原村でいつもの年とちょっと違っていることがありました。
それは今年、檜原村でイノシシの被害が少ないのです。
このイノシシの大好物はマムシなのです。
もしかして今年は、山での木々の実りが多くあって里まで下りてくる必要がないのかもしれません。
「もしかして天敵がいないのでマムシも安心しきって、残り少ない秋の日和を堂々と楽しんでいるのでは?」なんて、思ってしまいました。

そこで調べてみましたら、とんでもない大間違い!
マムシにはマムシのちゃんとしたひなたぼっこの理由があったのです。

マムシは8月の終わりから9月上旬の晩夏に妊娠して、一年間もかけて一生懸命お腹の中で子育てに励みます。
そして翌年の晩夏から秋にかけて、赤ちゃんマムシを産むんです。
卵を生んで子どもを増やすヘビのやり方と違うので、これを「卵胎生」と呼んでいます。

お腹の子どもが大きくなるに従って、子どもを冷やさないように一生懸命日光浴を行うのです。
そして昼夜区別なくネズミ等の餌探しをして、栄養を蓄えて子どもを育てています。
昼のひなたで休んでいたマムシは、きっとお母さんヘビに違いありません。お腹の子どものために体を温めていたようです。
大きくまるまると見えたのは、赤ちゃんがいっぱいお腹の中にいるからなんでしょうね。なんとけなげなことでしょうか。

じつは、フジの森に遊びに来る人間の子どもたちにとっては危険なので、みんなでつかまえて、殺してしまおうかなんて考えていたんですがやめました。
危険注意! 近づかないで! と立て札をたてて、お母さんマムシの無事の出産を見守ることにしました。

マムシは毒蛇で危険ですが、むやみにいじめたり触ったり近づいたりしなければ、私たちには有益な仲間なのです。
森でひなたぼっこしているお母さんマムシに会ったら「お母さん! 子育てがんばって!」と、そっと遠くから声援を送ってあげて下さいね。

2013年10月23日 09:49 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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