食べられないための植物たちの知恵

皆さんこんにちは。
雪が残る東北では本格的な春はまだ先のようです。
でも先日「フキノトウがのびてきましたので送ります」と岩手県二戸市の友人から連絡がありました。

山々では、フキノトウ同様に雪解けを狙っていろんな山野草の芽や新しい葉が出始めています。
その柔らかな山野草の新芽や葉を狙って、お腹の減った動物たちがここぞとばかりに食べ始めています。
そうなんです。
早春は動物たちにとってはやっとお腹いっぱい食べることのできる時期です。
でも植物たちにとってこの時期は受難の時なのです。
今日はこの受難の時を乗り切ろうと自分を守っている山野草のお話です。

私がよく行く二戸には、通称「アイコ」と呼ばれている山菜「ミヤマイラクサ」があります。
この植物は今頃、人里離れた道端などあまり人の入らないやや暗い場所に群生して育ちます。
そして夏になると高さが1メートルにもなる1年草です。
今頃の時期、茎や若葉を茹でて、おひたしやあえものにして食べると本当にさっぱりして美味しいです。
これだけ美味しいのですから当然シカなどの草食獣は大好物のはずなのですが、全く食べられることがないのです。
なんででしょうか。

実は私も経験しているのですが、この植物は堅い刺に覆われていて、ちょっとでも触ると手に刺さり、涙が出るほど痛い目にあう強者なのです。
私には、近づいた瞬間に針が飛んできたように思いました。
手がしびれてしばらくジーンとしていました。
これは私の想像なのですが、野生動物の生活しやすい人里離れたところに繁殖するこのミヤマイラクサは、かなり昔に、シカなどの食害にそうとうあっていたに違いありません。
そこで、なんとかこの食害から逃れようと一生懸命がんばって身を守る知恵をつけてきた結果なんだと思います。
たしかにシカなどは、このミヤマイラクサに刺されるのを嫌ってか決して食べません。
安心しきって成長しているように見えます。
そのせいでしょうか。
結構一カ所に群生しているのをよく見かけます。
でも最近は、そう安心してもいられないようですよ。
煮ることによって水に溶けて無毒になり、春の山菜として美味しいことを知った人たちが、「山菜の王様」などともてはやし、軍手をしてこの珍味を採ろうと来るようになっているからです。
今の最大の敵は人間なんですね。

同じように動物からの食害から身を守っている代表的な樹木があります。
山に行くとちょうど今頃、白い房状の花を咲かせている木々を見かけることがあります。

この植物の名は「アセビ」と言います。漢字で「馬酔木」と書きます。
漢字で表すように、昔から馬などの草食獣が間違ってこの植物を食べるとフラフラしだし、酷いときには死んでしまうこともあるそうです。
当然シカなどの草食獣は食べるのを避けるため、ほかが食べられて、この木が残ってしまい目立っているのです。
調べましたら、「奈良公園では、シカが他の木を食べ、この木を食べないため、アセビが相対的に多くなっている。」と書いてある報告がありました。

私のよく行く桧原村の山々でも本当にアセビがいっぱい残っている地域があります。
原因はアセビの葉や茎、根、等のあらゆる部分に呼吸や神経麻痺を起こす有毒成分がたっぷりと含まれているからです。
この植物も体にこのような毒性を作ることで、動物に食べられてしまうことを防ぐ知恵を長い年月をかけて身につけてきたんですね。

一見すると平和そうな早春の山野で息づく動植物たち。
それぞれが明日を生き抜いていくため知恵を出し、切磋琢磨しあって生きているんですね。
こんど何気なく咲いている山野草を見つけた時、どんな知恵を出して毎年花を咲かせているのか観察してみてくださいね。

2014年4月 9日 09:02 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

切磋琢磨する雑草の話ですが庭にウド、蕗、茗荷、山椒、こごみ,たら,クコ、三つ葉、その他、沢山の山野草色々、狭い庭にひしめきあっています。もともと自生していたものもあって必死なんでしょうね。

Posted by: まっつん | 2014年7月13日 09:36


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