親が贈った唯一のプレゼント

皆さん、山は若葉でいっぱいです。
本当に山が膨らんで見えて素敵な風景です。
この時期、フジの森の観察路の脇にはムラサキケマン、キケマン、ヤマシャクヤク、ヒメウツギ、ミミガタテンナンショウ、そしてホウの木には開花直前の大きな白い花のつぼみが見えます。
川沿いにはウワミズザクラが白いブラシ状の花をいっぱいつけています。
また、昨年の秋にイノシシが牙で掘り返したフジの森の斜面には、ヤブレガサやワラビなどの山菜がいっぱいです。
きっと掘り返されたことで、山野草が成長しやすくなったのかもしれませんね。

先日ですがフジの森を訪ねました時、フジの森の管理人である小沢レンジャーが悲しい顔をして切り株の上を見つめていました。
「どうしたんですか?」と尋ねましたら「真板さん、申し訳ないことをしてしまいました。これ、なんだか分かりますか?」と切り株の上で死んでいる小さな子どもの蛇を指差しました。
「え! 模様から見てあの危険なマムシの子どもですか? あれって、子どもでも毒があってとっても危険なんですよ」と答えましたら「僕もそう思って、ここに遊びにくる子ども達に危険だと思って退治したんです(涙目)。でも間違いだったんです。じつは調べましたら私たちには有益で、何の毒も持っていないシマヘビの子どもだったんです。後でしっかり調べましたから間違いありません(涙)」

幅は僅か7mm、体調30cm、胴の周りに細くて茶色かやや赤い環状の模様が一定の間隔で入っていて、マムシの模様に一見するとそっくりなんです。
間違うのも無理はありません。親のシマヘビは頭からしっぽにかけて黒くてしっかりした筋状の縦縞模様が入っていますから、全く別物といってもよいのです。

普通4~5月に交尾を行い、7~8月に4~15個の卵を産み、秋の初めには卵から孵りますから、きっと昨年生まれた、フィールドデビューしたての未来のある希望にもえた一年生だったに違いありません。
「これなら間違ってしまうね」と慰めましたら「ね、本当にそっくりでしょう。でも調べてみるまで、子どもが親とは似ても似つかない模様で、しかもマムシに似ているなんて全く知らなかったんです。罪もない未来ある子どもを叩いて殺すなんて、悪いことをしてしまって」としょんぼりしていました。

なぜ親と子どもの模様がこうも違うのか、その理由ははっきりしていませんが、一説では、敵に襲われやすい子どもは敵から自分の身を守るために、『毒を持っている』と自然界では知られた暴れんぼうのマムシの模様に似させて、敵が近づいてくることを敬遠させているのではと言われています。

生まれたときから一人で生きていかなければならない宿命を背負った子どもへ、親が贈った唯一のプレゼントなのかも知れませんね。

2014年5月 7日 11:04 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

初めまして、興味深く記事を遡って読んでおります。しまへびの子供がマムシにそっくりだなんて知りませんでした。遭遇してみたいものです。10年前庭で‟やまかかし”がヒキガエルの子供を丸呑みしているところを目撃して以来蛇にはとんとお目にかかりません。有難うございました。

Posted by: まっつん | 2014年7月13日 09:14


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