獅子舞を楽しむ秋のユリ

皆さんお元気ですか。
すっかり秋らしくなってきましたね。

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秋晴れの9月中旬、桧原村は秋祭りでにぎわっていました。
私が住む集落の下川乗(しもかわのり)では三人獅子舞が奉納され、皆で神様への祝宴を行いました。
別の集落では朝の神事、そして子ども達による山車の引き回しもありました。

そんな奉納の舞が行われている周りの石垣に、この時期には珍しい白いユリが咲いています。
高さは1.5m 近くもあり、葉は細くスラーっとしていて背筋がのびている感じの姿形のせいか、このユリ達が奉納の舞をかしこまって見守りながら祝っているようにも見えます。

よく見ると、ラッパ型で筒状の花は全体的には白色なのですが薄い紫色の筋が入り、花自体がお祭り用に着飾り、鼻筋に紅を付けてお化粧をしている子どものようです。

そよぐ秋風にややうつむき加減の花が時折上下に揺れ、獅子舞に相づちを打って踊りを楽しんでいるようです。

このユリの名前はタカサゴユリと言います。
このユリは日本原産ではありません。
元々台湾に自生していたこのユリが大正時代に日本に入り、各地に野生化したものだそうです。
名前のタカサゴは琉球語に由来するそうで「台湾のユリ」という意味だそうです。

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じつはこのユリはよく見るテッポウユリとは違った得意技を持って、分布範囲を全国に拡大して行ったらしいのです。
通常のユリは虫などを媒介にして、他の場所に咲いている仲間の花から花粉を受粉して種を作り、花が咲くまで数年かかるそうです(他家受粉と言います)。
しかしこのタカサゴユリは、ある仕掛けを持って自分の雄しべの花粉を自分の雌しべの先に受粉して種を作る(自家受粉と言います)のが得意技です。
通常のユリは主に他家受粉をし、花が咲くまで数年かかります。
しかしタカサゴユリは、自家受粉をした後、発芽した翌年には花を咲かせるほど繁殖力が旺盛なんだそうです。

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では自家受粉を可能とするこのユリの得意技とはどんなものなのでしょうか。
タカサゴユリの花の中をのぞいてみました。
すると受粉をする雌しべが筒状になった花の外に向かって、異常に長く伸びているのです。
肝心の花粉を持っている雄しべは?と言いますと、雌しべより遥かに短く、雌しべの下の方を取り囲むように並んでいます。
こんなに短くてどうやって雌しべの先まで花粉を届けるんだろうかと思っていましたが、意外なことが分かりました。

それは、ある時期が来ると、下を向いて咲いていた、根元が細く上が開いたラッパ状の花が、スルッとすっぽ抜けるかのように地面に抜け落ちるのです。

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その時、一緒に雄しべの花粉を擦りとって落ちるので、その途中で雌しべの先端に花粉をくっつけて行くのです。
あのきれいな筒状の花が、すり抜けて受粉の役割をしているなんて信じられませんでした。
よその国からやって来て、他の植物に負けないように生きていく知恵ですね。

獅子舞の伝来は遥か遠くの東南アジアにあると言われていますから、このユリ達は、この桧原村の獅子舞を見ながら、自分たちの先祖がたどってきた遠いふるさとを思い起こしているのかもしれませんね。

2014年10月 8日 10:13 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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