思い続けて55年

皆さん、北海道大学構内は雪でいっぱいです。
ちょっと油断するとスッテンコロリン!です。怖いですね。
雪こそありませんが、同様に寒い日が京都でも続いていますが、京都植物園の温室の中では花がいっぱい咲いているようです。
先日、隣の川本コーヒー店でモーニングコーヒーを飲んでおりましたら、前にもご紹介したアマチュア写真家の羽柴さんがニコニコしながら、「先生、お久しぶりです。京都植物園に行ってきました。この植物の花が咲いていましたが知ってます?」と見せていただいた写真にびっくりです。

私が小学3年生の頃、植物好きのことを知っていた父から、誕生日に一冊の本をプレゼントしてもらったことがありました。
その本の題名は「植物の世界」というA4サイズのカラーの本でした。
今でもその本を大切にしているのですが、その中には「世界中で珍しい植物の話」がいっぱい書いてありました。
その文と写真の中で、「いつか直接自分の目で見てみよう!」と思ったものに次の3つがありました。

1 世界一大きい「ショクダイオオコンニャク」の花
2 世界一大きい花「ラフレシア」
3 チャールズ・ダーウィンが予言した虫とランの花

1は東京の植物園で、2はボルネオの熱帯林の中で幸い見ることができたのです。
その都度この本のことを思い出しては「やった!」と心の中で歓声を上げていたのですが、フィールドがアフリカのマダガスカル島になる3番目のランには、遠いこともあり、なかなかお目にかかる機会がありませんでした。

この虫とランの花のお話と言うのは次の様な内容でした。
このランは日本名で「彗星ラン」と呼んでいるのですが、今から約150年前の1862年1月、チャールズ・ダーウィンがこの花を入手した時に、ランの花の蜜が入っている20-35cmという非常に長い管状の「距(きょ)」にびっくりしたのです。
その距のあまりに長いことから、彗星ランと言う名がついています。
そしてダーウィンは「その長い距の一番奥底にある蜜腺まで届く長い口吻をもつ蛾がいるに違いない」と予言したのです。
当時の昆虫学者達はその予言を馬鹿にしたそうです。
「ありえない!妄想だ!」

しかし、真実が明らかになる日が来たのです。
ダーウィンが亡くなってから33年後、この仮説を信じていた2名の研究者がアフリカのマダガスカル島のジャングルの中でダーウィンの予言通り、体長80mm、口吻長270mmもある驚くべきスズメガ(キサントパンスズメガ)が彗星ランの蜜を吸いにきているところをついに発見したのです。
距の長さと蛾の口吻の長さとは見事に一致したのです。

185RanGa.jpg

植物は送粉者の役割をしている昆虫に蜜を吸わせる代わりに、花粉を他の花に運んでもらって実を結ぶことを助けてもらっています。
でも無造作にいろんな虫に勝手に蜜を吸われてはただ食いになってしまうため、特定の相手のみに吸ってもらえるように、自分の体に合った虫だけに蜜を吸ってもらうよう、姿形を変えていきます。
昆虫の方も、よりスペシャルで得意な唯一の競争相手の少ないパートナーとなるように自分の姿形を変えていき、双方がともに共存して生きていけるように進化していくのです。
この方法を「共進化」と呼んでいます。
この彗星ランとスズメガの例はその典型と言えるのです。

いつかは見てみたい、会ってみたいと思い続けて約55年たった先日、3番目の夢であったこのランの花についに出会えたのです。
写真での出会いでしたが、とても感激しました。
できれば早速、植物園に現物に会いに行きたいと思っています。
こんなに身近で見られるなんて、ワクワクします。

みなさんの周りでも意外と、特定の昆虫とパートナーを組んでいる植物がいっぱいあります。
花粉を媒介する昆虫への適応は、花のサイズと昆虫の関係だけではありません。
花の色や匂いなども、昆虫に応じて変化すると考えられています。
また、野菜と特定の昆虫しか食べられないようにしている例など探すといっぱい見つかります。
是非探してみてください。
分かったら私に教えてくださいね。

2015年1月28日 08:25 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

不思議な森のふしぎ先生!③番の気の遠くなるような不思議な話!ロマンチックを通りこして神秘的ですねぇー。もうあきらめたのですが私が観てみたい花はヒマヤラ高地に咲くという‟青いけしの花”です。栽培種ではなく自然の大地に咲く‟水色のけし”が観てみたかったです。今日もワクワク有難うございます。

Posted by: まっつん | 2015年1月28日 12:58


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