お正月に揚げる凧の材料って?

寒い日が続きますね。
桧原村の山の木々の芽は、しっかりと硬い鱗片に覆われ眠っています。
昨年は、家の周りに積もった大雪を自衛隊の方々にかい出してもらって助かりましたが、今年も又東京にもやってくるのでしょうか。心配ですね。

先日、気候的には亜熱帯地域に位置する西表島からの便りが届きました。
もう常緑広葉樹のシイやカシが芽を吹き新緑に覆われて、桜も開花したそうです。
西表島の仙人と言われる石垣金星さんがおっしゃるには、このシイやカシの木々が芽吹いて、新緑がモコモコと山々を覆う風景が、まるで「魚のうろこ」のようであることから「魚林(ぎょりん)」と呼んで、このモコモコ度合いで山々の健康度を一目で測る目安としているそうです。
「西表島では12月〜1月、沖縄島ヤンバルでは2月頃、そして奄美では3月頃にこの魚林の美しい山並みが見られる」とおっしゃっていました。
京都の嵐山ではシイやクスのこの風景は5月過ぎに、桧原村ではクヌギやコナラの落葉広葉樹が6月過ぎに見られることを思い出しました。待ち遠しいです。

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そう言えば、最近めっきり少なくなりましたが、お正月の風景といえば「もういくつ寝るとお正月。お正月には凧揚げて♪」と歌われる凧揚げですね。
つい最近ですが、気候帯の違いにより植物の分布が異なることで、同じ凧でも地域によって使われている材料が微妙に違うことに気がつきました。

江戸を代表とする和凧の骨には一般的に竹が用いられます。
竹は理想的な素材と言えます。
資料にも「竹は硬いがその繊維にそって容易に割ることができる。竹はしなやかで、熱でどんな形にでも作ることができる。水に強く腐りにくい」とあり、何処にでもあって手軽に利用出来る最適な材料なのです。

一方、本州北端の青森県の代表的な風凧と言えば、弘前地方の津軽大凧です。
ここで使われるフレームは竹ではありません。
竹は青森や北海道等の寒い所では成長が悪く手に入りにくくなります。
そこで凧の骨組みには、青森県産のヒバの柾目のマサ割りを使います。
ヒバは別名アスナロと呼ばれています。
「あすなろ、あすなろ明日はなろう。大きなヒノキに明日はなろう!」と歌われる、雪の多い地域でなければ育たないと言われるヒノキの仲間の樹木です。
厳しい風雪に耐えながら何十年も時間をかけて、ゆっくりと年輪を重ねて成長します。
だからこそ、緻密で狂いが少なく、強固で細やかな木目により水にも強く、腐りにくい性質を持ちます。
まさに竹の性質に匹敵するこの地域ならではの優れものと言えます。

一方皆さんは凧文化の北限をご存知でしょうか。
北海道の北端に位置する強風の島「礼文島」です。
この島ではアスナロも竹も分布していません。
そこでこの島ではその対策として、凧の骨組みにトドマツを使っているのです。
つい最近、礼文島の凧職人の方に作っていただいたのですが、1m×1.5mの大凧の骨は、トドマツを幅3cm位に扁平に割り、端にキリ等で穴を丁寧にあけて、糸でしっかりと結んで骨組みを作ります。
かなりの強風対策がなされています。

このトドマツはマツ科モミ属の常緑高木です。
北海道の北部から東部にかけて分布し、建築材では柱・梁・土台などの角材、一般用の板類および、ひき割類のほか、かつては屋根柾(やねまさ)に用いられ、腐りにくく、しなやかさもあるそうですから、やっぱり凧の骨材として最適なんですね。

今度皆さんがいろんな所で凧を見たら、どんな材料で作られているか観察してみて下さい。
もしかしたら、知らない材料が使われているかもしれませんよ。

余談ですが、先ほどの石垣金星さんがお住まいの西表島や石垣島のある八重山諸島では「ハーベルフータン(蝶凧)」と言う名前の凧があります。

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この凧はまず、針金の先に輪を作ったものを2本用意し、蝶凧の本体に取付けます。
蝶凧とは別に大凧も用意し、大凧の頂上の部分にストッパー役の小枝を取付けておきます。
そして先に大凧を揚げます。
この大凧の糸を、針金で作った輪に通します。
すると蝶凧は、大凧の糸に沿って上空までスルスルと揚がり、ストッパー役の小枝まで到達した時、あら不思議! 蝶の羽がパタンとたたまれ、今度は糸に沿って手元まで下りて来るカラクリ仕掛けになっています。

この凧の材料は、亜熱帯地域なら何処でも手に入る細く削った竹で出来ていました。
もし行かれることがあったら買ってみて下さい。楽しいですよ。

2015年1月14日 10:54 | | コメントを読む (2) | コメントを書く


コメント

不思議な森の不思議先生、おはようございます、今年も宜しくお願いします。お正月の風景には凧揚げと羽子板に獅子舞との事で、我が家の玄関には、小さな凧、小さな羽子板に小さな布製の獅子舞に小さな駒を飾ります。本当は大きな凧が欲しいのですが、凧揚げの骨組みは、竹で出来ていると思いこんでいましたが、詳しく説明されていましたので、良くわかりました。興味深いお話しを、ありがとうございました(*'▽'*)

Posted by: なりこ | 2015年1月16日 11:37


不思議な森の不思議先生、 来年は、大きな凧揚げを、探して飾りますね!今から探すのが、楽しみです~♪

Posted by: なりこ | 2015年1月16日 11:44


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