虫達の温泉地とは!

皆さん、全国各地で桜の満開情報でいっぱいです。すでに桜散ると言った報告も聞かれ始めてもいますが、今年はどこかにお花見に行かれましたか。

一週間くらい前ですが、私は東北岩手県奥南部地方の中心と言われる二戸市に調査で行ってきました。ここでは山地部の畑や雑木林の隅々に残雪が残っていて、辺り一面冬芽をつけた寂しい枯れ枝の里山景色です。
地元の人の話では、『ここでは、あど数週間さ待でば、梅も桜もリンゴも、みんな一緒にさ咲いて、桃源郷さみでーよ』と教えてくださいました。
でもそんな寂しい景色ですが、ふと日当りの良い、笹や雑木を借り払っているとも思われる手入れの行き届いた田んぼの土手や畑や雑木林の隅に、ちょこっと地面から飛び出た短い茎の上に、ひときわ目立つ黄色の花をしっかりつけた植物があちこちに咲き誇っています。

188fukujyuso1.jpgこの花の名は「フクジュソウ(福寿草)」といいます。この花は、春一番を告げる縁起の良い花として、お正月の縁日の植木市で縁起物として売られているのでご存知の方もいるかと思います。
私も野生の状態で出会うのは久しぶりでした。フクジュソウは、春一番に咲く身近な花だけに、呼び名も様々な別名を持っています。元旦草、元日草、正月草、歳旦草、朔日草、長寿菊、長寿草、報春花、土満などいっぱいあります。以前この植物のことは、『春の妖精「スプリング•エフェメラル」の季節!』でも紹介していますが、今日は簡単ですがもう少し詳しくご紹介したいと思います。

この植物はちょっと変わっています。茎と花が、太陽の動きに合わせて回転するのです。
また、太陽の照り具合で器用に花弁が閉じたり開いたりするのです。
朝方の冷え込みから段々と太陽が顔をだして、気温があがってくると花弁を開きはじめます。そして、さらには花の向きを太陽の変わっていく方向に向き変え、パラボラアンテナのように太陽光と熱を集めるのです。
その結果、花の内部の温度を高めています。
研究結果では「中央部の温度は、気温より10度も高くなることがあり、フクジュソウの花は太陽が出ていない時、おしべやめしべはしぼんでいますが、ひとたび太陽の光を受けると10分ほどで開くことが出来る」とありました。
なんでこんなことをするのでしょうか。

じつは、他の植物と比べて子孫を残す上でとんでもない短所を持っています。それは、フクジュソウには蜜を作る能力を持っていないと言うか、作れないのです。
こんな美味しい蜜もないフクジュソウに虫達が来てくれる訳がありません。
ましてや早春のこの時期気温も低く、早春の「花粉の運び屋筆頭」とも言われるハエやアブ、ミツバチなどの活動能力は体温が低いため、活発な活動できず低下しています。

188fukujyuso2.jpgそこでフクジュソウが考えたのが、花びらをパラボナアンテナのようにして動かして光と熱を集め、その熱でおしべを元気にさせ、花粉を提供するようにしつつ、訪れた花の中で虫達の体温を高めて元気にしてあげることでした。
温泉地の様な場の役割を果たしているのです。

188fukujyuso3.jpg写真を見てください。画像のように小さな虫や昆虫がとまっていますね。
蜜はないのですが、そのかわりに熱という暖かさを早春に虫達に与えることにより来てもらい、花粉と言う餌を提供し、かつ大切な交配相手を探したりする社交場となっているんですね。
ところで、このフクジュソウは春に花を咲かせ、花が終わると今度は夏まで茎と葉っぱをのばして栄養作りをしますが、夏の終わりには地上部が枯れて姿形は見えなくなってしまいます。それから春までを地下でゆっくりと過ごすんですよ。
先日、今はどんな様子のなっていますかと現地の方にお聞きしましたら『もう花さ終わって、茎と葉っぱにさなっている。実もついている』と答えが帰ってきました。

来年皆さんも機会があれば山に行って、じーっと時間をかけて朝から日があがるまで観察してみませんか。
フクジュソウのパラボナ回転と温泉地を求めてやってくる虫の日光浴が見られるかもしれませんよ。


2015年4月 8日 18:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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