「ヤナギ」ってどんな植物なんですか?

皆さん、本州では桜は終わりましたが、北海道ではこれからが本番です。
先日、十勝岳の麓に位置する「美しい村運動」を行っている美瑛町に行ってまいりました。
以前、『美しい村の「ケンとメリーの木」』でご紹介しました。ここには一躍有名になった「青い池」があります。

この「青い池」に通じる道の両脇をヤナギやシラカバの木々が覆っています。
「青い池」ですが見て驚きました。
池の中には立ち枯れの白樺の木々が何本も立ち並び、その木々の足もとを包み込むかのように青淡色の水面が被い、幻想的な風景を描き出しています。
ふと池の河畔に目をやると、かわいい銀白色の毛に包まれたネコのしっぽを丸めたようなヤナギの花(かほ=花穂)が枝にいっぱいついています。
今日はこの春の訪れを告げる「ヤナギ」のお話です。

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ヤナギと言えば、すぐ思い出すのはあの生け花にもよく使うかわいらしいネコヤナギや街路樹などによく使われているシダレヤナギを思い出します。
このヤナギの仲間は、川が氾濫した後の河畔や崖崩れ跡地など環境変化の厳しいところでたくましく生きている植物です。
この植物は種を作る雌の木と花粉を作る雄の木が別々の雌雄異株で、一説では世界に400種、日本には90種はあるといわれており、自然界でいろいろなヤナギと交配しやすいそうです。
『これは何と言うヤナギの種類?』と聞かれても、すぐには答えられないことが多く、研究者泣かせの植物と言われています。

ヤナギは昔から茎や枝のしなるような柔らかさや加工のしやすさからいろいろなものに利用されてきました。
例えば、爪楊枝などの材料としても使われていますし、行商の方が服や小物等の荷物を入れて全国を飛び歩く「入れ物」として有名な「柳行李(やなぎごおり)」はこの枝を利用して作った代表的なものです。
柳行李の材料となるのは、コリヤナギという種類です。コリヤナギの樹皮をはいで、きれいに水洗いし、乾燥させたものを使って織り込まれ作られています。
私の部屋のガラスケースの中に、約1.5cm位の木彫りで出来た小さなお人形があります。
赤ちゃんがお面を頭に後ろかぶりして、ハイハイしている様子のお人形です。
189kamoningyo01.jpgこのお人形は昔からの伝統的な郷土玩具の一つ「加茂人形」と呼ばれるものの一つで、この柳行李を作った時に出た残りの材を利用して作られてきたと言われています。
『これからもずーっと柳行李を大切にしていって下さい!』との思いを込めて子ども用に作っていたのかもしれませんね。

それから先ほど名前を出しました風情たっぷりのシダレヤナギですが、京都の大覚寺の華道である「いけばな嵯峨御流」では、河畔に生えるシダレヤナギを「糸柳(いとやなぎ)」と呼んでおり、そのヤナギの冬や春の本来の性質と、雪や風によって情緒ある姿を見せる風情をいけばなで表現しています。
これを「糸柳三景」と呼び、それぞれの景色を次のように表現しています。

【糸柳雪中の景色】(中央)
河畔に雪降り注ぐ寒風の中、夜来の雪で辺り一面が白銀の世界となり、柳の枝にもずっしりと雪が降り積もっている風景を生けています。
雪で枝をたらし、雪の重みに耐え忍ぶだけでなく、細い枝先は雪をはねのけ、やがて訪れるであろう春を待つ糸柳がみせるその力強さ "冬景色の風景"とよんでいけあらわしています。

【糸柳春風に随う景色】(右)
やがて冬も過ぎて温かさを運んでくる突風を東風(こちかぜ)と言います。
小春日和に川面を伝って吹き始めた「春一番」の風に吹き上げられるように枝を左右に大きく揺らしながら、柳の枝が風に舞い上がります。
この風に吹かれてしだれる柳の姿を"春景色の風景"とよんでいけあらわしています。

【糸柳長閑の景色】(左)
「春一番」の突風も止み、降り注ぐ春の日差しの中で厳しい冬を乗り切った安堵感と、やがて訪れる初夏を目指して伸びだそうとする膨らんだ芽を付け、温かい日差しの中で静かに垂れ下がる柳の姿は、私たちに平和と安らぎ感を与えます。
その"春の風景"の姿を「長閑(のどか)の柳」とよんでいけあらわしています。

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素敵ですね。いけばなでは、葉の出ていない糸柳の枝を用いるのですが、本当に一年の変化が手に取るように伝わってきます。
これからがヤナギを見て楽しめる最高の季節です。派手さはなく目立たない植物ですが、この植物こそ日本の伝統文化や生活に欠かせない大切な植物です。
是非これから注意してみて、楽しんでください。

2015年4月22日 18:04 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

三景特に 糸柳長閑の景色。。。ぼんやりと眺めていても 飽きがこないですね。。。柳の雌雄異株 知りませんでした。

Posted by: まっつん | 2015年4月24日 09:20


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