常寂光寺がつなぐ小さな命 ―夜半のお寺の訪問者―

今年の連休は快晴が続いて過ごしやすかったですが、皆さんはどのように過ごされましたか。
小倉山に位置するモミジ寺で有名な常寂光寺(じょうじゃっこうじ)では、赤子が手のひらを精一杯広げた様な可愛いモミジの若葉が寺内いっぱいに広がり、春の風景が一番美しい時期を迎えています。

190moriaogaeru1.jpg先日ですが、常寂光寺の長尾住職さんから「寺内別邸にて一緒にお食事会をいたしませんか。」とお誘いを受けました。
その日あいにくの雨模様でしたが、雨の降る夜7時過ぎから会食は始まりました。始めて1時間くらい過ぎた頃でしょうか。何かが大きなガラス窓に張り付いています。
「あ!あれは何ですか?」とお聞きしましたら、「今年もやってきましたね。毎年この時期になると、夜な夜な訪ねてくるんですよ。」と答えがかえってきました。
4本の足の指先には丸くて可愛い少し赤みがかった小さな吸盤があって、しっかりとガラス窓に体を張りつけています。
よく見ると真ん中の3番目の指先が伸びて一番長いようで、吸盤が一番目立ちます。きっとこの足指でしっかりと体をガラス窓から落ちないようにしているに違いありません。
体は濃い緑色でした。目はびっくりするくらい大きくて、どうも光につられて来る蛾などの昆虫を狙っているようでした。

190moriaogaeru4.jpg突然、パクッ!と飛んできた蛾を目にも止らぬ早業で口の中に。
でもカエル君には大きすぎたのでしょうか。
暴れてもがく蛾は大きな口のカエル君から脱出に成功です。
悔しがる様子のカエル君は、また、じーっとしてガラスに張り付き次のチャンスを待っていました。
一晩中こうやって餌が飛んでくるのを待つ「実に辛抱強いカエル君」なんだそうです。
住職さんのお話では、池の上にせり出した木々や池面の脇の草木の上に白くて大きな泡のような塊りを幾つも産みつけるとのこと。
この泡の塊りの中には泡に守られた卵がいっぱい入っていて、オタマジャクシになるとぽたぽたと池の中に落ちて行くんだそうです。見てみたいですね!
常寂光寺では毎年6月頃にこの光景が見られるとのことです。是非皆さんも見に行ってくださいね。

資料によると、普段は森の中で生活し、4月から7月にかけて繁殖のために生息地付近の湖沼や水田、湿地、池などのオタマジャクシになった時に生活が可能な安定した水環境のある場所に集まってくるそうです。
産卵の時にメスがオスをおんぶして水の上にある木の枝先で卵を産み、泡立てながら産むので2時間くらいかかる難産だそうです。大変ですね。

何百年も続いている常寂光寺のお池の存在を知っていて、その情報を引き継ぎながら子孫を残しているんですね。
和歌に歌われる小倉山、その中腹の常寂光寺、そのお寺が手を入れ美しさを保っているモミジの庭園とお池。
この小倉山の森をすみかとし、何百年間にも渡って維持されてきたお池を産卵場所として小さな生命を引き綱いできたモリアオガエル。
この小さな命が京都の歴史文化と密接につながっているって素敵だと思いませんか。
この季節から初夏まで、京都は人も木々も動物達も最も息づく季節です。ぜひおいで下さい。
常寂光寺の小さな生命が皆さんをお迎えしますよ。

2015年5月 6日 20:00 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

はい。京都の歴史文化と繋がって累々と命をつなげてきたモリアオガエル本当に素敵です。不思議な森の不思議先生 今度ヤモリの生態教えてくださいませんか。外でなく家の中にもいるんです。

Posted by: まっつん | 2015年5月 7日 18:57


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