翼果を持ったエルムの木って

皆さんお元気ですか。
先日岩手県の奥南部地方の中心地、二戸市の足沢集落で行われた「山菜採りエコツアー」に行ってきました。
なんとそこではエゾハルゼミが鳴いていました。急に暑くなって、虫達も「夏が来たのか?」とびっくりしたのでしょうか。初鳴きは、いつもの年より2週間から3週間も早いそうです。
でも、びっくりしていたのは虫達だけではないようです。例年なら6月中旬に満開のはずのニセアカシアの真っ白な花が満開でした。一部の木では既に開花が終わっている木さえ見受けられました。
この地方ではミツバチによる養蜂が行われていますが、きっとミツバチも大わらわだったに違いありませんね。

192harunire02.jpg一方、札幌市では25度近くの気温の日もあり思っていたより暑いです。
今、北海道大学のキャンパスではいろんな植物が子孫を残そうと花を咲かせ、種を作り、なんとか遠くまで種を散布しようと一生懸命です。あの北大のポプラ並木の綿毛の種は、そよ風のってキャンパス内を小雪が舞うように、あるいは宇宙遊泳を楽しんでいるかのように浮遊乱舞しています。
綿毛をつけたタンポポの種は吹く風の強弱にあわせて小さなバレリーナのように、道歩く人々の前を上にあがったり、下に下がったりと軽妙なダンスを披露しています。今日はそんな中、風をうまくとらえ、木々の間をかい抜けてひらひらと飛び回る北海道大学の植物のお話です。


192harunire01.jpgその名は「ハルニレ」です。
北海道大学キャンパスのメインストリートの両側には高さ25メートル前後、直径30センチ以上のハルニレの木々が多く植わっていて、散歩する人たちに心地よい木陰を作っています。
先日ですが、このメインストリートの歩道の端に種子の回りに薄っぺらい半透明の翼のついた種がいっぱい散乱していました。
大きさは直径1センチほどです。札幌は住んでみて分かったのですが、いつも風が吹いており、本州に比べて湿度が低くさっぱりしています。

この風が吹くたびに何かがひらひらハラハラとあちこちに散っていきます。
よく見ればハルニレの種です。ハルニレの種は種の周りに翼果(よくか)とよばれる半透明の薄い皮の様な翼状のものをつけていて、風を受け遠くに飛びやすい形にしています。192harunire05.jpgどのくらいの種を作って飛ばすのか調べてみましたら、調査結果では1本の木で数10万個以上という種を作り、平均200メートルくらいまで遠くにまで飛んでいくそうです。
そして、もっとすごいのはそのうちのごく僅かですが、運良く環境の良いところに着地した種は、他の植物に負けないようにすぐに発芽し、成長してハルニレの森を作っていくのだそうです。
いっぽう他の多くの種はエゾリス等の小動物達の大好物の餌の1つとなって、生き物達の命をつなぐ大切な役割を担っているのです。運が良ければ夢中で食べている姿を見ることで出来るらしいですよ。

このハルニレは別名「エルム」とも呼んでいて、北海道大学は「エルムの学園」として有名です。
資料によれば「明治時代初期に林を切り開いて学校をつくる時に、外国人教師たちがハルニレを伐らないように進言したので、当時からの大木が多数残った」そうです。
このハルニレには、「神々も見とれるほど美しいハルニレ姫の上に、見とれて足をすべらせた雷神が落ちてしまった。
姫は身ごもり、生まれた男の子がアイヌの祖先であるアイヌラックルだ」というアイヌ神話が残っているそうです。大学が大事にしている意味が分かってきた気がしました。

 大切にされ、見守られてきたハルニレ。最近、北海道と言えば食べ物ばかりが表に出がちですが、是非、皆さんもこの時期北海道においでになりって、美味しい食べ物だけでなく、人や動物に愛され大切にされてきた「ハルニレ」の道を歩き、木々を通じたもう1つの北海道の歴史ある魅力を感じてみてはいかがでしょうか。

2015年6月 3日 11:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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