西表島の節祭を彩るシダ植物達

1512_1ミリクの行進.JPG皆さん日本本土はすっぽりと寒気に包まれてしまい、札幌は気温3度で30cmの積雪がありました。でもその数日前から私は西表島の祝いの伝統の儀式「節祭(しち)」に行っていたのですが、何と気温30度の猛暑で汗だくでした。

ところでこの節祭ってご存知でしたか。節祭は当年の豊作を感謝するとともに来年の豊饒と人々の平安を祈願する神事で3日間に執り行われます。

1日目が大晦日にあたる年の夜で今年は11月20日、家の主人が小石とサンゴを家の中と外に撒き、福と厄払いをします。

2日目が新年にあたり、今年は11月22日でした。祝いである世乞い(ゆうくい)の儀式が行われます。有名なミリク様といわれる神を先頭にした行進が公民館から浜まで行われ、島の繁栄と平和を願います。
私の行った祖内の節祭では、ミリク神の中に入ることができるのは49歳の男性と決まって、衣装の黄色はフクギの木からとった樹液で染めますが、この木は数百年を経た島の家々の周りに垣根として植えられ台風から家を守っている植物です。またヤエヤマオオコウモリの餌となる美味しい実を付けます。
最後に「海の彼方から豊年を漕ぎ招く」と言い伝えられている舟漕ぎ競争や、種々の芸能が繰り広げられます。
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3日目が11月23日、水恩感謝の大平井戸儀式でした。
この節祭はなんと560年続いている国の重要民俗文化財に指定されているものなんです。
この伝統行事に欠かせない陰の立役者が島に生息しているシダ植物です。

 1日目の魔除けの時に、珊瑚を蒔くと同時に、通称シチカズラとかシチカッチャーと称するツル草を家の柱に巻き付けます。
これは和名でイリオモテシャミセンヅル(西表三味線蔓)、フタバカニクサと呼ばれるつる性のシダ植物で、普段は目立たないシダなんですがこの日だけは大役をにない人々に大切にされます。(1)

2日目の世乞い(ゆうくい)の儀式で欠かせないのはもてなしの料理です。
ここでの料理の主役はバラピと呼ばれる大根のような食べ物です。島ではこの時期、野菜はほとんどとれませんので山の神様が授けてくれたものをいただいて料理し祝いに参加した皆をもてなします。
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その大根の様なバラピとは、ヒカゲヘゴ(1)という高さが10メートルを超える木性シダです。
直径30cmくらいのヘゴの木を切り倒し、ごわごわしたかさぶたの様な部分をナイフで切り落として、長さ50cmくらいに切り分けて大釜で煮込むのです。その色と形から島では「山大根」と呼んでいる人もいます。(2)

また茎の部分以外のワラビやゼンマイのような渦巻き状のけむくじゃらの新葉の部分(2)が大きさ50cmから60cmになって棒状に伸びて出てくるのですが、この部分を積んでお料理に使います。結構淡白ですが歯ごたえもあり美味しかったですね。(3)

もう一つあります。それは西表島の森林内の樹木や岩などに着生しフツピーと呼ばれているヤエヤマオオタニワタリというシダ植物です。葉の長さ1m以上で光沢のある厚い線形の葉が漏斗(ろうと)状に集まり鳥の巣のような形になります。このシダの葉が密集している中心部にできる新芽を食べます。天ぷらで揚げたり茹でたりして食べますが、シャキシャキしていて、ちょっとねばりけがあって、とってもおいしいものでした。(4)

1512_3shokubutsu.jpg島人が神様からの恵みに感謝を表す節祭は、私たちは神様から生かされている事、そして私たちはその恵みに感謝する為にも、自然を守り、末永く人も自然もと一体となって生活していく大切さを教えてくれました。
島の主と呼ばれている石垣金星さんはこう語ります。

「真板さん!文化力のある島は滅びません。島は私たち島人の誇りです。自然があるから文化がある、文化が誇りだから自然も誇りです。全部別々でなくて全部いっしょよ!」と。

 是非皆さんも来年行ってみてはいかがでしょうか。


2015年12月 1日 10:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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