アイヌの人々の命を支えた山の植物「オオウバユリ」とは。

  皆さん、やっと暖かい日が戻って来ましたね。山では一斉に植物が芽を吹き山がこんもりと膨らんで見えます。

桧原村の畑ではサヤエンドウの花が咲きジャガイモが芽を出し、檜原特産の野菜「のらぼう」はニョキニョキと伸び花芽を既に付けています。

山ではシュンランが咲き、桧原村の村花であるヤマブキの花が林道を飾っています。四季の里レストランの駐車場では、遅咲きの緑色の桜「ギョイコウ」が開花し、夏に向けキッキョウの葉が伸び始めています。

皆さんの周りではどんな花が咲いていますか。

160427_1 先日北海道に戻ったのですが、北大の構内では本州では珍しい植物が芽を出し光沢のある大きな葉を広げています。今日はこの植物のお話です。

十数年前のことですが、岩手県二戸市で地域の人が自慢する「宝探し」をしていた時のことです。

地域で山仕事をしているおじさんが「こんなもんがあったですよ」と一本の長い棒のようなものを持って来ました。長さは2.5m位で太さは4〜5cm位で上にいくほど細くなっています。
「これは?」とたずねましたら、オオウバユリの花の咲いた後の花茎が枯れたものだと教えて下さいました。私はこれと同じ植物でこれほど大きくない「ウバユリ」は山で何度も見ていましたがこの大きさにはビックリしたことを覚えています。

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この変なウバユリは漢字では「姥百合」と書くそうです。

資料によると、姥は老いた女性のことを指し、この植物は花が咲く頃に葉がぼろぼろになって枯れてしまう姿になってしまうので、その姿を例えて、『歯(葉)がない=姥』という洒落で付けた名前だそうで、「姥(うば)とは、乳母(うば)のことで、乳児に乳を与え養育して、成人(花が咲くころ)には、年をとり歯が抜けてしまう(歯がない)、ことから、ウバユリ の名がついた」と書いてありました。

花は20個以上の黄緑色ないし緑白色の大きい花を花茎にそってつけてとても見事です。でもこの名前では少しかわいそうな気がします。


 ところで、雪解けの5月、北大の構内を見て驚きました。なんとこのオオウバユリがいたるところに生えているのです。調べてみたところこれほどたくさんのオオバユリの生息には理由がありました。この北大は構内にアイヌの人々が住んでいた遺跡が数多く残り、アイヌ民族の研究も盛んな大学です。じつはオオウバユリはアイヌ民族が用いる植物質の食品の中では穀物以上に重要な位置を占めていたそうです。

一般的にお正月に食べるユリ根にあたる鱗茎(りんけい)部分には澱粉がいっぱい入っており、まだ葉が多くついて大きな状態の4〜5月の時期にアイヌの人々は山に入り食用に集めていたそうです。北大の構内にいっぱい生えているのはこの歴史を大学に訪れる方に知ってもらう「展示植物」的な意味があるそうです。


 以前、檜原村で、ウバユリのユリ根を掘ってアルミホイルにみ焼いて食べたことがありますが、とてもほろ苦く、サラっとした舌触りで美味しかったことを覚えています。オオウバユリはどんな味かな?と考えていたら、「先生、黙って採って食べたら駄目ですよ。ちゃんと許可を取ってくださいね」と釘を刺されてしまいました。

 寒い大地で生きていく為に根にいっぱいでんぷんを蓄え、子孫を増やしていくオオウバユリ、一方で一番栄養のある時期をみつけて集め、美味しく栄養を取り出す知恵を生み出して生きていくアイヌ民族の知恵、生きていくということは知恵と工夫の出し合いですね。凄いと思います。
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このオオウバユリの他に澱粉を取る植物としてクズの根から採れるクズ粉、カタクリの地下茎から採れるでん粉、あのシダのワラビの根から採れるワラビ粉等もあるんですよ。

今度クズやワラビを山に行って採って来て試してみてはいかがですか。先人の知恵に感激すること間違いないですよ。

2016年4月27日 11:00 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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