春の女王、生きる為に私も負けて入られない!

皆さん、本当にお久しぶりです。しばらくお休みしておりましたが今週から執筆をまた開始致しますのでご期待ください。

この4月から居住地を札幌から東京都檜原村に移しました。今年の檜原村は山野草の開花が2週間も遅れました。今週に入ってやっと集落のあちこちでミツバツツジやシダレザクラが咲き、山ではウドやワラビ等の山菜の芽を摘める様になって来ています。先日ですがコナラ林の道ばたを歩いていましたら可愛いシュンランの花を見つけました。鼻を近づけると少し甘酸っぱい独特のかおりがします。また日当りのと良い林の中で山の妖精といわれるエビネランが咲いていました。これから5~7月にかけて檜原ではシュンラン以外にもモミラン、キンラン、ギンラン、を始めとするラン科の植物が次々と花を咲かせていきます。

今日は植物の中でも「摩訶不思議な知恵を持った植物」といわれ、世界に700属以上15000種、日本に75属230種あるといわれ、そのどれもが固有の花の形と色をもち、その独特な美しさに誰もが心を奪われてしまうラン科の植物のお話しです。

実はランの花が他の植物にはないくらいの独特の個性を持っているのは、その生き方にあるのです。ここでは特徴的な3つのことについて述べたいと思います。

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1≫ まず、ラン科の植物は好き嫌いの激しい、特別なパートナーしか寄せ付けないと言う仕組みを持っています。花には六枚の花びらがあるのですが、正面の一枚だけが変わった形になっています。だいたい袋状や手のひらをすぼめた様なひだひだ状の形になっていて、これを私たちは唇に似ていることから唇弁(しんべん)と呼んでいます。この唇弁の表面には花の奥の方に向かって模様がついています。これはこの花を訪れた虫達に「ここから奥に入っていけば、おいしい蜜がありますよ!」と知らせる滑走路の様な目印なのです。これを私たちは蜜標(みつひょう)と呼んでいます。

では、どんな虫でも蜜標をたどっていけば密にありつけるのでしょうか。じつは、ランには、誰でもかれでも受け入れが出来ない仕掛けが用意してあるのです。まず蜜標の模様の色ですが特定の虫にしか識別できない様になって、一次審査をして選別します。さらに、この唇弁の奥が長い筒状の形になっていてこれを距(きょ)と呼んでいますが、その一番奥の先端が蜜が出る仕掛けになっています。ですからこの蜜を吸う為には、蜜を吸う長いストロー状に伸びた口の長さが筒状の長さと一緒でなければ蜜を吸えない蝶しか近づけない様になっているのです。

昔、研究者がアフリカのマダガスカル島でこの筒の長さが30cm以上のランを発見したそうです。「きっとこの筒の長さにあった口を持った虫がくるに違いない」とじーっと何日も観察していると、夜、この長さに合った吸い口を持ったスズメガの仲間がやって来ることが確認されたと言う記録が残っています。日本ではフウランやおなじみのサギソウなどでもよくこの長い距(きょ)を観察することが出来ますよ。

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2≫さて、蜜標を見つけ距(きょ)までたどり着いた虫達は夢中で蜜を吸い始めます。でも、ランからすれば、それだけでは虫達に蜜だけ吸われて何の徳もありません。植物が蜜をだしているのは虫を呼び寄せることによって雄しべで作られた花粉を他の花に受粉をしてもらい、種子を作る為の大切な仕掛けなのです。ですから蜜を吸いに来た虫達には確実に体のどこかに花粉をつけてもらい、同じ仲間の他の花に飛んでいってもらう必要があるのです。

じつは他の花にはない特殊な仕掛けがランの花にはあるのです。唇弁にたどり着き蜜標にそって奥に進もうと虫達が前進して行った時です。唇弁から奥に入ろうとする入り口の上部の雄蕊(おしべ)から数百万の花粉が入った塊り(花粉塊)が入った瘡蓋がついており、その中に小さな塊りが2つぶ入っていて、その塊りが虫達の目や頭部にぴったりとくっついてしまう仕掛けになっているのです。このことで、虫達が他の仲間の花に行ったとき、かなりの数の花粉が確実に受粉でき種子ができるのです。

皆さんもどんなランの花でも良いですので、唇弁の上部についている雄しべの先端を触ってみて下さい。クリクリっとした瘡蓋が外れ、その内側に黄色で小さくネバネバした糸の様なものをつけた花粉塊を手につけることが出来ますよ。虫になったつもりで試してみて下さい。


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3≫さて、ラン科の植物が生き延びる最後の仕掛けです。ランの種子と言いましたが、その種子は小型で普通の植物の種に見られる栄養分を持った胚乳はありません。ちょっと見るとランの種子は種子と言うより粉状に見えます。一つの果実内に粉状の種は数万から数百万入っていると言われています。この粉状の栄養隊を持たない種はどのように発芽して、花を咲かせるあの美しい植物に成長していくのでしょうか。この仕組みこそ、ランの最大の神秘とも言えるものです。

実はラン科の植物は、昆虫を選ぶのと同じ様に自分に変わって栄養を小さい時から与えてくれるパートナーを持っているのです。その名を「菌根菌」と呼んでいます。ラン科植物は種類ごとに特定の決まった菌を決めていて、その菌の助けによって栄養を供給してもらい、発芽、成長をさせているのです。ただ、この菌はどこにでも一様に分布している訳ではありませんから、ランの種がこの特定の菌を探し出して定着する場所を見つける確立はとても低いはずです。

だからこそ、種子を粉にして軽くし、信じられないくらいの種を風任せで至る所に飛ばし、パートナー探しをしているのです。ランも頑張って生きているんですね。

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一つの生物が生きていくって、一人では生きられない、多くのパートナーと自分の特性をじっくり見極めながら、連携をくみ、互いに協力しあってこそ成立するんだと言うことをランはその生き方を通して私たちに教えてくれます。

皆さんが大切にしているパートナーはどなたでしょうか。じっくり考えてみましょうね。

2017年4月25日 15:38 | | コメントを読む (1) | コメントを書く


コメント

お久しぶりです。不思議な森の不思議先生・楽しみに・お待ちしておりました。
生命の神秘と力・今までになく-感動しました。わかりやすくて 楽しいす。・
私の大切な パートナーは 今年78歳( ´∀` )。今年・金婚式を終え・エメラルド婚まで元気で迎えられたら幸せです。

Posted by: まっつん | 2017年5月 1日 09:11


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