今日の敵を明日の味方にして生きぬく「アリノスダマ」とは?

 皆さん、ここ数日暑い日が続いていますがいかがお過ごしですか。
 私は久しぶりに京都の友人に誘われて、珍しい植物を扱っている京都の高橋園芸さんの見学に行って来ました。

 世界各地から取り寄せたと言う珍しいランが温室に所狭しと並んでいます。私はそれを一つ一つ手に取ったり、匂いを嗅いだりしながら見て回っていたのですが、棚の上の鉢に植わっている奇妙な植物を見つけました。明らかにラン科の植物ではありません。いままで私が見たこともない形の植物です。
 根元は大きなこぶ状になって膨らんでいます。そのこぶの中央から突き出た茎は20cmくらいで、その先端にはへら型の葉が数枚ついています。ひっくり返して、こぶの裏側を見ましたら、こぶの一番膨らんだ部分には空洞部分が沢山ありました。

 「これは何ですか。初めて見る植物ですが」と尋ねましたら、「これは熱帯地域の植物で、アリと一緒に生活をしている『アリ植物』といいます」との答え。早速調べてみましたら本当に面白い生態を持った植物でした。


 資料によりますと、このアリ植物とは、木の幹に着生する植物で、地面から直接養分を摂取できないので、この部分にアリを住まわせて、アリの排泄物や餌の食べ残しなどを養分として摂取している植物達の総称で、自分の体の上でアリが常に暮らせるように進化した構造を持ち、世界各地の熱帯地域にその例が多く見られるとのことです。

 「ここにあるのはそのアリ植物の中でも『アリノスダマ』と呼んでいる湿地帯マングローブの幹や枝や、岩の裂け目や岩上に着生する種類のものです」と教えてくださいました。

 熱帯地域でのアリは、日本のアリと違って、植物にとって本当に恐ろしい存在です。数万匹の集団でやって来て植物の葉や実を食べていきますから、標的にされた植物は、一瞬にして丸坊主にされ生き残れる可能性はほとんどありません。ある種類のアリに襲われると、牛の様な大きな動物ですら絶命するものがあるとさえいわれています。熱帯地域の植物にとってこのアリとの戦いをどう防衛していくかは、生きるか死ぬかの生命線です。
 そこで熱帯地域の植物達の中で、何種類かの植物達は知恵を絞り、敵に回すのではなく、アリを住ませることにより、アリの攻撃的性格を利用して、その植物に近寄る小動物をアリに攻撃させ、自分を守らせる作戦をとったのです。
 このような植物と動物の生き方を「防衛共生型」と呼んでいるそうです。
 

 本来は相容れがたい昆虫を、「外敵という発想から味方へ!」と発想を転換し、決死の覚悟でその実現の為に自分の体の形まで変え、逆に「すみかを積極的に提供して生きる」というすべを考えついたのです。
 熱帯の中で生き抜こうとする「アリ植物!」。
 ものすごい決断力と知恵と実行力だと思いませんか。私たちも見習いたいものです。

 写真ではタイランド、ニューギニア、ベトナム、マレーシアの各地域のアリノスダマの仲間の全体像とアリをかこっている根元の部分の写真を載せました。じっくりとご覧ください。

タイ.jpg

ニューギニア.jpg

ベトナム.jpg

マレーシア.jpg

2017年5月25日 13:49 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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