カレンダーと時計の無い中で生きる秘訣を知らせる「フェノロジーカレンダー」

 新年おめでとうございます。
 今年も「不思議な森の不思議先生」よろしくお願いいたします。

 今日は自然が知らせてくれる「生きる知恵情報」のお話です。

 日本はご存知の様に、北海道の亜寒帯気候地域から沖縄の亜熱帯地域まで、多様な気候帯を含む世界でも珍しい国です。
 その日本にアジアや北方から、あるいは大陸から様々な人々がやって来て集落を作り住み着いて行きました。
 その集落数は、江戸時代の終わり頃の記録を見ると71,314もの町村にも上ります。
 各町村の人々はこの多様な気候の生み出す特有な地域固有の自然、例えば、気象、水、さらには動植物等を巧みに利用して生きる知恵をつくり出して生活して来たのです。

 ところで、この多様な自然とつき合って生きていく上で大切なことがあります。

 それは、いつ何をしたら、食べ物が手に入るのか、いつどんなことが起る可能性があるのかと言う、時の情報を知ることです。

 私たちが「いつ」を知ろうとするとき、まずは時計を見るでしょう。あるいはカレンダーを見て、今がどの時期かを知ろうとします。
 では、時計やカレンダーが一般庶民の手元になかった昔、人々はどのようにして「いつ」を知ったのでしょうか。
 今がいつなのかを知らなければ、次に何がくるのかを予測できず、稲を植えたり、魚を捕ったりする行動が起こせません。
 この、いつ何をするのかを知る知恵こそが地域で自然とつき合って生きていく秘訣だったのです。
 
 時計もカレンダーも無い時代に、昔の人々が時を知る情報として活用したのが、生き物が告げる「季節のメッセージ」です。

 自然界の出来事は互いに密接に関連しており、人はその変化に従って、今何をするのが一番適切かを悟り、活動を開始したのです。
 
 例えば、梅の花が咲き、サクラが咲き、ウグイスが鳴けば、寒い時期はそろそろ終わる、私たちの今の言葉で言えば「春が来た」、「田植えを始める時期が来たな」と理解し準備を始めていたのです。
 沖縄の西表島では、遠くの山際に咲く白色のツツジの開花をみて「田植えの開始時期」を知ったそうです。またある鳥が鳴いたら「海に入って魚を捕ってよい時期が来た」と判断していました。


 時計もカレンダーもない昔の人々は、自然観察を積み重ねることによって、農作業、暮らしの営みの「法則」を体で覚え、世代を超えて知識を蓄え、伝承してきたのです。言い換えれば多様な自然と向き合う71,314もの町村ごとにその知恵があって、地域で生きるために活用してきたのです。その知恵の積み重ねが今の日本の地域ごとの文化、風土を作ったと言っても過言ではありません。

 この自然と関わりながら地域で生きるための季節を告げる動植物の生き物情報、それに合わせて行われる生産活動、その時の収穫物、それを彩る季節ごとの郷土食、そして、自然への感謝を示す豊年祭の様な伝統行事等の情報をまとめて、一枚のカレンダーに表したものを、私たちは「フェノロジーカレンダー」と呼び、(一言で言えば「地域の自然と密接に結びついた生活の年の移ろい」を表現したカレンダーです)今、日本各地でこのカレンダーづくりを行っています。

 このほど、このフェノロジーカレンダーづくりを紹介した本「みんなでつくる、フェノロジーカレンダー」(旬報社刊)を出版しました。
 是非手に取って、皆さんの周りで自然との関わりを表すどんな情報が引き継がれてきているか調べ、みんなでフェノロジーカレンダーづくりをしてみてはいかがでしょうか。

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2018年1月10日 17:05 | | コメントを読む (0) | コメントを書く


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